凍てし夜の闇に薬の封を切る
★ 独楽の軸ぢっと見つむる子供の眼
笑初めそして泣初め忙し子
探し見るえくぼはどこか山笑ふ
足をやゝひらきて青き踏みにけり
夏帽子深めにかぶる通学子
沢の音小雨の闇に河鹿聞く
やわらかな色の移ろひ菖蒲園
壽の萬年亀と花菖蒲
★ 潰れし蚊行間の時二十余年
★ 野分あと空はミケランジェロの作
★ ひし形の口は母待つ燕の子
べらの色母嫌がると父が言ふ
鵲の橋をめぐなよはたた神
梅雨の音部屋は地上の底となる
足元に気付く明るさ月見草
水羊羹大小見極む審比眼
屈託のなき顔ならぶひまわりや
泳ぎ終へ入日を眺む親子かな
面打ちに赤色晒す西瓜かな
枝豆のみどり賞でつゝむきにけり
★ 濃き陰を更に濃くする蝉時雨
枝豆にのびる手丁々発止かな
此の時をはかなく在りし白露かな
石塀の径ゆるりと秋めくや
★ 美形なる坊主読経百日紅
手にもつはすすきえのころ力草
★ 軽トラの荷台に子等の祭かな
★ 登窯伊部の秋をくぐりけり
月の夜に一人居眠る待合室
小春日に雀十匹また一匹
偏りし又偏りし年暮るる
今日の星おまえにゆうたきれいだぞ
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